三重県小俣町。人口18000人、世帯数6700のこの町は都市でもなく、また自然が豊富というわけでもないいたって平均的な地方の町だ。
その町で昭和26年に創業し、婦人服専門店ツジとして地域密着型でやってきた。
地方都市のこの手の店舗は多くの共通の悩みを抱える。都会が近くなったことで、客が流出していくのだ。交通や流通、そして情報量が地方都市といえどほとんど格差がなくなってきている。たとえば婦人服を例にとると、少し車や電車で移動すればおしゃれな服が買える都市部が近くにあるし、家にいながらでも通販などで手にいれることが可能である。情報にいたってはマスメディアやネットの発達で全国同じ情報を入手でき、商品情報などは常に最新のものが入ってくる。地域密着型である必然性は自然と薄れているのだ。
都市部の店舗と同じ戦場にたたされるが、変わらないし変えることが困難なことが人口である。地方都市のマーケットは薄く広い。駅前に店舗をかまえる商店街などは行政の後押しなどがあるのでなんとか頑張っているが、そうでない店には将来的に非常に厳しい状況なのは、ここに書くまでもないことであろう。
そんな中、この婦人服専門店ツジはあえて勝負にでた。2004年3月に場所を移転し新店舗をオープンさせた。店舗の名前は「セレクトスクエア・ファーレ(PHARE)」。ファーレとは、灯台という意味がある。たしかにマネキンを飾ったショーウィンドゥが、夜には灯台のように浮かび上がる。総フロア面積386u。1階はこの地域では紹介されていない最新のブランドなどが並び、そのブランド数は100を超える。店の飾りなども都会の店舗に勝るとも劣らない。このまま都会にもっていっても充分勝負できる。2階は、リラクゼーションできる空間。エステサロン「ソフィー」やギャラリーなどに使える多目的ホール、オープンテラスに面したテーブルではお茶などを楽しむことができる。
もちろんこの新店舗オープンは無謀な賭けなどではなかった。そこには地域密着型の店舗ならではの基本的なセオリーを忠実に守った徹底的なマンツーマンの販売方針。そしてそこから産み出される客との信頼関係があってこその計算された勝負なのだ。
店長の清水幹弘さん(34歳)は「マス(大衆)ではなく個人、それが専門店のいいところ」と言う。
しかし、何年もおつきあいしてきた顧客が急に新店舗でとなると、ある意味お客さんがついてこれなくなるといったケースを耳にする。そのへんに不安はなかったのだろうか。
「毎回、いい意味でお客さんを裏切ります。前回ご来店いただいた時とは、またちがうショックを受けてもらう」
「そのお客さんがどんな嗜好なのかだけではなく、おおげさに言えば家のタンスの中にある洋服まで把握していなければならない。そうすれば、こちらから提案ができるんです」
なるほど、ひとつの店舗で若い世代から、ミセスまで幅広い年齢層をカバーするこの店の秘密も、ここにあるのだ。つまり、お客様全員が特別扱い、靴から帽子までトータルに自分を表現するファッションのカウンセリングやアドバイザーとしてこの店は圧倒的な信頼を得ているのだ。それは単に服を売るというのではなく、地域密着というよりも個人密着なのだ。
新店舗の展開にあたって、数あるPOSレジの中からヒロ経営システムのPOSレジを選んだのもこの個人密着型に適したPOSレジであったから。細かなカスタマイズで自分の店舗にあったシステムを構築できる点だ。取材の日も、ヒロ経営システムの担当者と販売戦略などの打ち合わせをしていた。常に進化してゆくシステム。たんなる数字をいじるだけのレジではなく、情報戦略として機能すること。たしかに客からみれば店はひとつ、しかし店からみれば客は多数なのだ。お客様との接し方を知り尽くした老舗だからこそ、接客の代わりをしてくれる機械としてのPOSレジではなく、接客のサポートをしてくれるPOSレジを選んだのもうなずけると思った。
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