会社の中枢部であるそのスペースは実に狭かった。が、このスペースから多くの年商が産みだされている。
取材の最中もひっきりなしに注文の電話が舞い込む。熟練のパートさんが電話をとり注文を受けるが、その電話の応対は実に素早い。
電話が鳴ると同時にナンバーディスプレイと直結されたパソコンの画面に顧客情報が表示される。
「はい、いつもの商品ですね、ありがとうございます」 注文された商品はメモをとることなく、電話で応対をしながら叩くキーボードから入力されていく。画面には「いつもの商品」と表示されている。
顧客のいつもの商品は何か?そこまで見据えたシステム。 電話を切ると同時にプリンタから伝票がはじき出された。無駄は一切感じられない。
酒屋さんをはじめて約20年。開業1年目で、業務にパソコンを導入した。当時は、同業者はもちろん世間ではパソコンはまだまだ認知されていなかった。高価な計算機だとしか思われていなかった時代である。
「実は大学で情報処理工学を学んだんですよ。それと修行させてもらっていた京都の酒屋さんがコンピュータで管理してまして、5年ほどいたんですが、その間にすごく業績を伸ばしたのを見てきましたから…」
なるほど、確信的なのだ。
パソコンというと魔法の箱のように思っている人は少なくない。何から何までオートメーションでやってくれる。それは大きな勘違いだ。パソコンという箱を操作するのは人間だし、ソフトという魔法は、データを入力しなければ、何も起きない。
また、さらに自分の業務のやり方というノウハウを元にソフトをカスタマイズしてこそ、器用な計算機であるパソコンは、魔法の箱へと進化するのであろう。
しかし、パソコンに慣れてない人にとっては、そのへんの概念は非常に解りづらいことも事実だ。
パソコンを業務の効率化に役立てようとすることは誰もが考えることだ。ましてや、景気が低迷する中、多くの会社は業務の効率化を模索している。今までのやり方を分析し、また再構築し、無駄な経費を節減していこうとしている。その中で注意しなければならないのは、ちゃんとした業務の分析ができていなければ、本当は必要なものまで削ってしまうということだ。
たとえば、この「いつもの商品」というフレーズ。顧客とのつながりが重要な地域の酒屋さんの場合、このフレーズが実に重要になってくる。昔ながらの伝統的なやり方では、この「いつもの商品」というのはその酒屋さんの従業員、つまりマンパワーに頼る部分であった。頭の中に顧客の顔と納品伝票がきっちりと記憶されていなければ、ギクシャクすることになる。顧客の数が増えてくると、それは職人的な技にまでなる。店からすると大勢のお客様の一人ではあるが、お客様が見たら店は一軒、「私の酒屋さん」なのだ。
その信頼関係は何よりも大切にするべき財産であろう。
こういった「基本」、つまり自分の仕事とは何なのか?そういったことが見えていないと効率化はできない。よくパソコンとか機械を導入して、その導入した事実だけが言い分けになり稼動しているとはいいがたいケースがあるが、その多くは自分の業務を把握できないことに起因する。
POSレジを導入するにあたっても、その動機、やりたいこと、やるべきことは明確だった。大手メーカーのPOSレジも含めて導入を検討し絞り込んでいった。
「大手POSレジのいいところは。全国で多くの店がつかっているという実績。これはすばらしい。点数でいうと70点。でも僕は100点でないとこれから先何十年と使えないと思った。
で、多くの選択肢の中からヒロ経営システムの「商築売」というPOSレジを選んだのはカスタマイズできるところ。自分がやりたいことに柔軟に対応してくれるところと、コストパフォーマンスが決めてでしたね」
「実際、カスタマイズには徹底的に応じてくれました。導入して3ヶ月たちますが、イメージ以上に満足してます」
取材を終えた後も、同行のヒロ経営システムのスタッフと、さっそくPOSレジの今後の改良点の話が始まった。
経済は生き物だとよく言われる。そして商売も常に流転してゆくものだ。時流を掴み、柔軟に対応してゆくのは経営の力であり、それにあわせて進化してゆくシステム。それはパソコンPOSならではの特徴である。
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